物理学解体新書/携帯版


■エネルギー■

質量mの物体を、重力に抗して手で高さhだけゆっくりと持ち上げるときの仕事はmghである。


この物体にかかる重力はmg、これに逆らう手の力は重力に等しいのでmgである。
このmgの力でhだけ移動するのだから仕事はmghとなる。


この物体が手に加える力はmgだ。
この物体を載せたまま、手をゆっくり降ろした場合、物体が手にmghの仕事をすることになる。


では、質量mの物体を、高さhに留めたまま降ろさなかったらどうなるか?
移動させていないのだから仕事はゼロである。


しかし降ろすことによってmghの仕事をする可能性はある。
この物体は「仕事をする可能性」を持っているのだ。


仕事をする可能性にある状態を、エネルギーを持つという。
エネルギーの大きさは「もし仕事をしたらどれだけ仕事ができるか」で表現する。
mghの仕事をする可能性があるので、この場合のエネルギーはmghだ。


さて、この物体をhだけ降ろしたとしよう。
このとき、降ろしていく過程で物体が手にmghの仕事をする。
しかし降ろし終わるともう仕事をする可能性はなくなる。
mghのエネルギーを持っていた物体が、mghの仕事をしたために、エネルギーはゼロになる。


物体がある状態で持っているエネルギーは、その状態を失うことによってなされる仕事に等しい。
等しいということは仕事もエネルギーも同一の単位を使用しているということだ。
「仕事」も「仕事をする可能性」も同じ[J]で表現する。
このため、仕事とエネルギーを混同する人がたまに見られるが両者は別物である。


エネルギーにも形態よりいろいろある。
位置エネルギー、運動エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなどだ。
エネルギーがどのような形態であっても、仕事をする可能性を持っていることには変りがない。
エネルギーごとに、仕事を取り出しやすい・取り出しにくいが違うだけである。





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